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第5弾を公開!【SDGsとブロックチェーン】ゼロからわかる!『ブロックチェーンを使った未来のカタチ』
お知らせ

ブロックチェーンを使った未来のカタチVol.5最終回~アナログ人間にも分かるように教えてもらいました

 

前回は、ブロックチェーンの導入事例などを教えてもらいました。今回は、最終回ということで、川本栄介さん(ブロックチェーンのテックカンパニー「アトノイ」代表)が考えるブロックチェーンを使った未来のカタチについて語ってもらいました。

 

編集部 実際にブロックチェーンを用いた「NFT」や「RED゜トークンエコノミー・プロジェクト」などを紹介してもらい、新しい仕組みやコミュニティーの在り方が広がりはじめているのだなと実感しました。前回の最後にも触れましたが、これからブロックチェーンを使ったトークンエコノミーやトークングラフが広がっていくにあたって、ワクワクする気持ちもある一方、使い方というかトークンを発行する側の在り方や考え方も重要になってくるのかなと思いました。

 

川本 そうですね。その辺りは、発行体の本質が問われる部分になりますね。トークンを発行するコミュニティー側には、もちろん責任があります。ブロックチェーンに記されていくユーザーの情報を「見える化」させているという責任です。ビッグデータを集めて「スゴイでしょ!」で終わってはならない。ユーザーから情報を提供してもらっている以上、それを有益に使っていかなければならないと思います。流行りだからと飛びつくのも構いませんが、トークンを発行する上で本質をきちんと理解しなければ成り立っていかない、継続しないと僕は思っています。オモシロおかしくトークンを発行するというのではなく、いかにトークンを用いた新しい経済圏で、「個」を幸せにしていくかということを考えているかどうか。それが重要。そこが理解できていれば、トークンを介した繋がり、トークングラフの中で生きていくことができますし、トークンエコノミーが成立し、発展していくと思います。

 

発行体は、トークンの価値の上げ下げができる立場だと自覚を持つ必要があります。ここでいう価値とは、価格の価値ではなく、金額に換算できない本質的な価値という意味です。また、情報を「見える化」させている立場であるということも理解した上で、立ち上げる際には透明性を持って設計していく必要があります。現在、日本で日本円を持っていると、あらゆるモノが買えるし、あらゆるサービスも受けられますが、そのお札を誰が持っていたか、どうやって手に入れたかなんて詳細は分かりませんよね。でも、トークンエコノミーのトークンは、ある特定領域分野でしか使えない分、トークンの密度が濃いのが特徴。誰が持っていたトークンをどのようにして手に入れたかなど、そこに関わっている人の熱量が刻まれているわけです。匿名性ではありますが、ウォレットアドレスは見えるので、発行体はそこをしっかり理解していかなければなりません。

しかし、だからといって発行体がすべてを管理するというわけではありません。最初のほうで説明しましたが、ブロックチェーンは非中央集権の自律分散型ですから、発行体はそのコミュニティーのトークンエコノミーに参加している人たちと一緒にトークングラフを作っていくようなイメージです。もっと進化していったら、そのコミュニティーに参加している人たちみんなで新しいサービスを考える際、投票権になるようなガバナンストークンも登場するかもしれませんね。

 

編集部 発行体は、そういうことを念頭に置いて、そこで何をしたいのかをしっかり考えて設計していくのが重要になるということですね?

 

川本 そうですね。発行体の立ち位置は大事ですね。とはいえ、ユーザーはどのトークンを持つか選ぶことができるので、自分に合ったコミュニティーを選択することができます。そのコミュニティーのトークンに自分のアクション、活動履歴が記録されるわけですから、どこのコミュニティーに入り、トークンを持つかをユーザーも真剣に考えなければなりません。

 

編集部 あの人が入っているコミュニティーだからとりあえず入っておこうという感じではなく、本当に自分がいたいと思うコミュニティーを選ぶってことですね?

 

川本 はい、それは選択の自由、選択の機会が増えるということでもあります。また、今もたくさんいろいろなコミュニティーはありますが、属人的なものやブラックボックス的なものが多いですよね。でも、トークングラフのコミュニティーは、ブロックチェーンを使っているので、個の活動が「見える化」されています。それによって、そのコミュニティーのヒエラルキーの歴史も見えるので、途中からそのコミュニティーに参加してもすんなり入りやすいし、どうやったらそのコミュニティーでインセンティブがもらえるかなども再現性が高い。つまり、自分がそのコミュニティーでどういうポジションにいたいか、どう在りたいかが明確になりやすいということです。

 

ブロックチェーンは、ただのツールであり、手段です。ブロックチェーンを用いたトークングラフ、トークンエコノミーにおける大切なものは、やはり「熱量」だと思います。熱量を分け与えたり、あるいは与えてもらったりすることで、トークングラフは発展していくと思うのです。こうしたトークングラフが増えていったら、今のSNSを中心としたソーシャルグラフは変わっていくだろうし、マイノリティーが認められ、より個にフォーカスした社会になるのではないかなと思います。

 

編集部 なるほど。トークンに記された行動履歴は改ざんできないから、正直でいないと…ってなるし、それによって逆にいろいろな呪縛から解放されるような気がしてきました。

 

川本 はい、SNSよりもずっと透明性があるし、見通しはいいですよね。繋がりが可視化されて、新たな価値を感じられると思います。

 

今は、趣味やエンタメ系の要素が強い分野からトークングラフが広がっていきそうな感じですが、僕の予想では10年以内には衣食住をはじめ、生きていくために必要な分野にもトークンエコノミーが入ってくるのではないかなと。あらゆるモノやコトの価値を額面で決める時代ではなくなってくると考えています。

 

編集部 早い段階でお金というものの価値が変わっていきそうですね。

 

川本 モノやコトの価値は当事者同士で決めたり、それぞれのコミュニティーの中で価値基準が決まっていくのではないかなと。1人の人が5つか6つのコミュニティーに属していると、それらのコミュニティーの中のやり取りだけで生きていけるような時代が来ると思います。

 

編集部 物々交換したり、得意なことをやってお礼に何かをもらったりってことですよね? そうなると、今ある紙幣や硬貨といったお金は必要なくなって…。縄文時代とか貨幣がなかった時代に戻るような感じですかね。

 

川本 そうですね。コトとコト、コトとモノ、モノとモノの交換をデジタル化したのがトークンエコノミーというわけです。

 

編集部 デジタルだけど、そこにはちゃんと人が存在していて、温かさのようなものが感じられます。きっとそれがトークングラフなのですね。

 

川本 あとですね、モノだけではなく、熱量もトークンで表すことができます。その熱量は、好きとか応援したいとかだけでなく、例えば、何かをしてもらったときの感謝などもね。そして、ブロックチェーンの技術だと、その熱量もすぐに相手に届けることができるわけです。

 

編集部 マイクロペイメント、即時決済ですね! あ、マイクロレコードか。

 

川本 そうです(笑)。

 

編集部 自分で言うのもなんですが、もう1回、最初からこの連載を読み直してみたくなりました(笑)。いろいろなことの理解がより深まりそうな気がしてきました。

 

川本 そうですね。より深まると思います(笑)。

 

お金を持っている=幸せというわけではない。近年、そこに気づき始めた人が増えていると感じています。それよりも、ウソや偽りのない正直な履歴を持ち、自分らしく世の中に貢献することが人生の質を上げていく、つまり幸福につながるのではないのかなと思います。ブロックチェーンは、そんな社会を作っていくためのツールです。ブロックチェーンという言葉を知らなくても、この仕組みが当たり前となるような世の中になったらいいなと願っています。

 

編集部 そうですね。ありがとうございました。

 

編集・テキスト/徳積ナマコ
生活情報紙の編集、広告制作の会社勤めを経て、フリーランスに。ライフスタイル、クラフト、食、アート、映画、ドラマ、アウトドア、農業、健康、スピ…と、興味があるとなんでも首を突っ込む。人の人生ややりたいことの話を聞き、まとめるのも好物で、最近はプロフィールライターとしても活動。

 

詳細はこちらでも掲載中ですので、ご覧ください。

●第5弾『ブロックチェーンを使った未来のカタチ』記事:https://link-earth.com/blockchain5/